MYITTAの工房

日々のくらしや手作り、ときどきミャンマー

August 2015

ずっと娘に見せたいと思っていたミャンマー伝統のマリオネット、先日初めてヤンゴンでの実演を見ることができました。

日本大使館などの後援で開かれたこの日の日緬人形劇交流事業は、前半が世界無形文化財である日本の文楽の実演と紹介、後半がミャンマーのマリオネットという構成。場所がChin Chaung Palaceという文化財建築で、普段入れないところということも楽しみの一つでした。実際には、その横の小さな建物が会場で、お目当ての建築ではなかったのですが…

文楽もミャンマーマリオネットも、とても実演、解説ともになかなか充実していて楽しめる体験となりました。

とくに、文楽を生で見るのが初めてだった私には、思いの外、文楽について勉強になりました。有名なあの『お七』からの抜粋では、何と言ってもあの緊張感と太夫、三味線奏者、人形遣いの方々の呼吸、職人技がまさに芸術で、いつの間にかすっかり惹き込まれてしまいました。

娘には、牧歌的な音楽や動物や鬼が登場したミャンマーパペットのほうが面白かったそうですが、両者は、なんというか、国民性の違いまで表しているように感じます。

あのわずか一瞬の文楽でも示された圧倒的な緊張感の美というのは、日本的というか、やはり日本人が好むものであり、日本人が求める芸術なのだと思います。

と、この日はヤンゴンにいるのに(いるからこそ?)日本文化のインパクトが強すぎたので、またの機会にはミャンマーマリオネットだけをゆっくり鑑賞してみたいところです。

もちろん娘には両方とも良い初体験となったみたいでした。

BBCのニュースを見ていると最近よく目にする黒髪の国際ジャーナリスト、ヤルダ・ハキームさん。紛争地や自然災害の現場を取材する、エキゾチックな風貌にこの名前。どこの人だろうと気になって調べると、なんとアフガニスタン出身でした!

私にとってのアフガニスタンは、2005〜6年に仕事で滞在したときに見た、内戦後の、それはそれは厳しい世界です。あの国から、世界で活躍する若い女性が出てきたとは!

といっても、彼女の家族はヤルダさんが生後6ヶ月でアフガニスタンを逃れ、オーストラリアで育ったそうです。オーストラリアのSBSで国際ジャーナリストとして活躍した後、2012年よりイギリスBBCの国際ニュースを担当することに。

家族の、そしてアフガニスタンの苦難に再び向かい合うことになった彼女のアイデンティティを知ることができるインタビュー記事が、インディペンデント紙のネット版にもありました。
 http://www.independent.co.uk/news/media/tv-radio/from-refugee-to-war-reporter-yalda-hakim-fled-afghanistan-as-a-baby-and-now-reports-from-the-worlds-conflict-zones-8991572.html
 
これからもジャーナリストとして、彼女だからこそ見えるもの、伝えられるものがあるのでしょう。 

人生には変えられない宿命のようなものと、意思や信念で自ら切り拓けるものが交じりあったものだなあと思います。

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